【DeNA】担当部長が語るモバオクTwitter運用の裏側



公開日時: 2011年8月3日
公開日時: 2011年8月3日
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7月28日(木)の第1回フラミンゴの会は、DeNAのEC事業本部モバオクマーケティング部を統括するPDこと金井路子さんに講演していただきました。
講演の内容は以下のような感じです。

  • モバオクでTwitter運用を始めるまでの経緯
  • 運用中止〜再開までのすったもんだ
  • 運営担当だけではない、支える組織と仲間の重要さ
  • フォロワー数とトラフィック流入の相関関係

私は一応ソーシャル屋のような仕事をしていますが、人事の選定基準や企業文化といった舞台裏に関する情報はなかなか入ってこないため非常に興味深く拝聴しました。

実際に勉強会で使用されたスライドは、金井さんがSlideShareで共有してくださっています。

 

また、ASSIOMAではご本人によるレポート記事も掲載されています。

EmpowermentとMarketing」 DeNA 金井路子

今回は、この講演を拝聴し、その後のディスカッションを通して得られた学びについてまとめてみたいと思います。

■企画・検討フェーズ

現在運営されているモバオクのTwitterアカウント(@mbok_jp)は、2010年に運用を開始したそうです。ただ、コンセプト不在でなんとなく開始したため途中で方向性を見失い、フォロワー数2500人程度で放置。フォロワーの盛り上がりもそれほどなかったとのことでした。ところが2011年5月になって運用を再開、背景となったのは以下のような要因だったそうです。

マーケ×CSプロジェクト

◯2011年5月マーケ×CSプロジェクト発足

  • ユーザーの声を集め、集約してサービスに展開する。
    • CSという既存顧客に対する投資と、マーケティングという潜在顧客に対するアプローチにつなげ、一気通貫でマネジメントするワークフローの導入。
  • 短期決戦でプロモーション・売り上げにつなげるのではなく、長期の視点を持って取り組み直す価値があると判断した。
    • 他社の成功事例を分析すると、まずはフォロワーを集め、マインドシェアを拡大し、その後の施策で結果に繋げていることがわかった。
    • キャンペーンについては奇をてらうよりは他社の成功例に学んだほうがいい。
  • 「2ちゃんねる」などCGMでモバオクに対する書き込みが見られたが、企業としてそれらの書き込みに反応できていなかった。
    • 有料化に伴って離脱した会員ともう一度関係を構築し直したい
    • 正しい情報を伝えたい
    • サービス改善のヒントを見つけるために深堀りしたい
      ・・・など
  • 自社メディア(モバオク)内で発信する情報に対して、ユーザーのリアクションが薄かった。

 

Twitterアカウントのコンセプトは「顧客同士が繋がるマーケットの面白みをつたえる。B級感と雑多感。」。定量的指標としてはPVとの相関やRT数、ハッシュタグ付きツイート数を設定し、3Qまでに販促に繋がるようなトライアルを実施するという期限も設けました。

また、運用再開にあたって、予算の承認が難しいことはわかっていたため、コストの安い新人のアサインを前提とし、何かあった場合は金井さん自身が部長として責任を取ることを条件に企画を通したということです。十分な実績のない、新しいことをはじめようとする際の可能性やリスクは、机上の空論を何時間費やしても結局は確証を得ることはできません(中島聡氏の言葉)。可能性を信じる人間が、許容できる範囲でリスクを取りながら、やる。満場一致が得られるのを待つよりアジャイルで現実的な方法論だと思いますが、失敗が許される(再チャレンジが許される)環境でないとなかなかこういうことはできないのかもしれません。

 

■人選

金井さんのお話で一番おもしろいのがこの部分です。運用にあたって属人性の高くなりがちな「個性的なTwitterアカウント運営担当者」をどのように見つけるか。金井さん自身は以下のように分析しています。

◎金井さん(部門長として)の選定基準

  • 生活者と同じ目線を持っていること。
    • 伝えたいイメージはモバオクの雑多感。「B to C」ではなく、「B into C」の目線が必要。
  • ミーハーであること=ネタを見つける力
  • ビジネススキル問わず
    • とても重要。完璧な人材はいないし、コストが高い。特化した人材が最適。
  • 1ヶ月半で、フォロワー200%増にチャレンジできるメンタル
    • DeNAの社風・文化として、数値目標に対するプレッシャーは強い。
  • ある程度の文章力
    • 他社のTwitter運用プロに言わせると、「俳句や詩、歌に近い。140文字で的確に意図を伝えるのは至難の職人芸。」

◎事業リーダー(金井さんの上司)

  • 売上に直接つながらなさそうなので、まずは若手で。
  • 何かあったら、金井責任でOK。
    • ユーザコミュニケーション対応への経験値。

 

◎担当者の人柄

  • 新卒採用の若手
    • 既に2500フォロワーがいるアカウントを任されるプレッシャーは感じる。
    • 3週間、プランニングだけをじっくり考える。
    • 他社事例のキャンペーンまとめも自らつくり、論理的に社内プレゼンし、予算獲得。

◎人事推薦理由

  • 採用した社員の中から最適と思われる人物を選出。
    • 組織のリーダーを務めていたことがあり、影響力がある。情報発信者として最適。
    • 目標に対して死に物狂いで努力するタイプなので、フォロワー数というわかりやすいKPIをバネにできる。
    • とにかくがむしゃらにトライしていくタイプなので、既存の試みよりも、全く新しいものを自分で試行錯誤していく方が本人の志向性と合っている。

 

部長や事業リーダーのような権限者が明確なビジネスとしての指標を持ち、許容できるリスクとコストを決定し、運営担当者のイノベーションを支援する。運営担当者は与えられた権限と責任範囲内でコミュニケーション戦略に特化し、経営に対してコミュニケーションプランの説明や経験からのフィードバックを行う。この関係はシャーリーン・リーが著書「Open Leadership(Amazonへのリンク)」で説明しているHERO契約そのものです。

HERO契約

「HERO(ヒーロー)」とは「Highly Empowered and Resourceful Operative」の頭文字を取ったもので「権限を与えられ、問題解決に必要な資源を持つ社員」と訳されます。同書では、経営とIT部門が権限と資源の両面からHEROのイノベーションをサポートする方法が書かれています。

 

■運用と成果

運用フェーズでは、定められた期間内に「フォロワー数を2500人から倍の5000人にする」という目標を掲げ、奮闘する担当者のストーリーを語ってくれました。

誰かに決められたやり方ではなく、担当者が自分自身でプランニングした戦略を実行し、フォロワー増加という結果を出していく。その過程で新たな手応えややりがいを感じ、どんどんのめり込んでいく様子。印象に残ったのは、休日、外出先でスマートフォンの電源が切れた担当者から「どうしてもリアクションしたいユーザーがいるので今から会社に戻ります!」と電話がかかってきた、という話です。企業アカウントの中には、上司から指示されて特に必要性も感じず、自分を殺して淡々と情報を流している担当者もいると聞きます。権限と責任(目標)を与えられ、顧客コミュニケーションを「中の人」として真剣に続けるうちに、担当者の意欲が掻き立てられていくのが感じられました。「人」でも「組織」でもなく「中の人」。個人が組織やブランドを代表する、というのはこういうことなのだな、と実感しました。
※コミュニケーションプランは法務のチェックを受けてから実行しているそうです。

モバオクフォロワー数

上記は直近3ヶ月の@mbok_jpのフォロワー数の推移です。7月に実施されたハワイ旅行などが当たる「モバオク挑戦状」の効果か、順調にフォロワー数を伸ばしています。

Twitterの成果

定量的指標であるフォロワー数、被リンクツイート、流入トラフィックにも有意な相関が現れています。ボリュームとして大きいわけではありませんが、このままユーザーの高いフィードバック率を維持できれば、ソーシャルチャネルの特性である情報投下コストの安さと接触回数の多さが生きてくるので、長期的に見て確かな成果につなげていくことができると思います(ROIがどうだ、という話は当然あるのでしょうけど)。

また、定量的指標はないものの批判的なツイートに対する個別サポートも行っており、説明できるものはできるだけ説明するようにしているそうです。きちんと謝罪or説明をした人は全員今でも反応をくれるユーザーになってくれた、と語ってくれました。

 

■課題

モバオクのTwitter運用は、2011年5月から手探りで始めた取り組みであり、まだまだ課題も多いようです。有料会員増加への道筋、属人的な運営ゆえの引き継ぎ問題、ブランディング成果の測定、CS業務のROI測定といった課題については会の参加者も同じ悩みを抱えているケースも多く、議論が白熱しました。ここではそれらのやり取りを公開することはできないのですが、会の運営を続けていく先に何か有益な仮説や結論が出た際には、参加者の誰かが発表してくれると思います。

 

■まとめ

以前、「マジックワード ”ソーシャル” を取り巻く課題の本質を考えてみた」というエントリで、「情報の力で強化された個人と法人の関係性」でソーシャルな施策の検討領域を四象限に分解しました。今回の勉強会では、金井さんのお話を聞きながら各象限での取り組みに関する良し悪しをプロットしていったのですが、ホワイトボードに書いたその内容を金井さんがスライド化してくださいました。

このように分解すると、「Twitterの施策」というプロジェクトを、「企業の中と外で発生する相互作用」という観点から俯瞰できます。モバオクのTwitter活用はマーケティングに施策・KPI共に集中しており、その成果を支えるのは経営とテクノロジーによってエンパワーされた特定の個人(運営担当者)。そしてそれの方向性を決定し、マネージする中央の管理・経営層(部長・事業リーダー)という構図です。

特徴的なのは、金井さんの話の随所に「個人」に多くの裁量と責任を与える文化が現れていることです。資料内でもコミュニケーションマネジメントについては「自らが考えて実行する。ネタもTweet本文も。最低限のルールだけレクチャー」と表現されています。参加者からもその点については賞賛の声が多かったのですが、金井さんは「DeNAのカルチャー」として以下のようなものを紹介してくださいました。

■DeNA Quality

  • 級の表面積
    自身が担当する領域において、DeNAを代表する気概と責任感を持つ。
  • 2ランクアップ
    目線とコミットメントを高く持ち、組織と個人の成功のために全力を尽くす。
  • 透明性
    チームワークとコミュニケーションを大切にし、仲間への 責任を果たす。
  • 発言責任
    階層にこだわらず、のびのびしっかりと自身の考えを発言する。
  • 最後の砦意識
    誰かにチェックしてもらうことを前提とせず、高いプロフェッショナル意識を持って仕事をする。

「自身」と「責任」。Zapposやスターバックスにも共通する、「個」を尊重する企業文化だと感じました。DeNAの社内には至る所にこのポリシーが掲げられているそうです。参加メンバーの所属会社は歴史も文化も様々なので、「うちではやりたい人を募集しても絶対に誰も手を挙げないと思う」「そもそも顧客サポートは完全にアウトソースしているので変革しようがない」といった意見も聞かれました。それでも、「個」にフォーカスする時代へ適応する必要性を感じているという点では参加者の意見は一致しています。金井さんやDeNAのようなオープンネスを持った個人や企業が率先して施策を実施し、その成果や方法論を世の中にフィードバックすることで、少しでも社会のオープン化に貢献できればと思います。

フラミンゴの会は8月の下旬に第2回を開催予定です。また公開可能な内容があればレポートさせていただきます。

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  2. kohei_41 より:

    【DeNA】担当部長が語るモバオクTwitter運用の裏側 http://t.co/RKi7EIL via @looops_naoto>メモ。

  3. mamelabo より:

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  5. mmeetsn より:

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  6. webmarketing88 より:

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  11. higuhigu より:

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  12. ballpark_89 より:

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  13. marketingnote より:

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  14. gori0204 より:

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  17. kazuki49 より:

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  18. kyohei0309 より:

    興味深い/【DeNA】担当部長が語るモバオクTwitter運用の裏側 http://t.co/NYJU7GZ via @looops_naoto

  19. dena_bot より:

    【DeNA】担当部長が語るモバオクTwitter運用の裏側 « Looops 直人の備忘録: 7月28日(木)の第1回フラミンゴの会は、DeNAのEC事業本部モバオクマーケティング部を 統括するPDこと金井路子さんに講演して… http://bit.ly/oMmDUH

  20. qw2e より:

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  21. shintokeimail より:

    「人」でも「組織」でもなく「中の人」。個人が組織やブランドを代表する、というのはこういうことなのだな、と実感しました。  (・∀・)イイネ!!
    : http://t.co/j84fBpB

  22. tmhrktzt より:

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  23. machuiii より:

    大手サービスの担当者はROIがあるのか計測しないといけないから大変だ。
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  24. naosukebe より:

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  25. inumash より:

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  26. fishintheair より:

    おもしろい!けどこういう事例は99.9% B to Cの事例なので全俺が吐血「【DeNA】担当部長が語るモバオクTwitter運用の裏側」http://t.co/kLE3K0s

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